K子さんの悲しみ

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 毎週月曜日、2時間たらずのボランティアを某介護施設でしている。
89歳のK子さんは、特にこの日を楽しみにしてくれている。

「こどものころは図画とお習字は 『甲』 (5段階の5) だったンだよ」
と、自慢するのが頷ける画力の持ち主
…だったのはホンの4〜5年前まで

今は、指先が思うように動かなくて
正直、なにを描いたのか理解できないくらい。

「ちょっと、ここをそれらしく直してヨ。」 と私に訴えるのだが、どこをどう直していいかわからないので

「ここに私がテを加えたらブチこわしになっちゃうヨ。もったいないヨ。」 と逃げる (^_^;)
そして先日とうとう

「歳とるって、悲しいよ。情けないよ。いままでできてたことがいつの間にかできなくなってくる…。」 と、
K子さんが顔をクシャクシャにして泣いていた。
そして
「ちょっとトイレに行ってきますネ ヨッコラショ」 と、杖につかまり立ち上がった。
励ますつもりで、わたしは
「トイレにひとりで行けるンだから、まだまだだよッ」 と言ってすぐ
しまった! また泣くか…

「あっははははは、そーだね。でも来年はどーなってるか」
ホッ
来年のことは来年になってから考えようヨ。と、ココロん中でつぶやいた。